裁断機を買いました

これまで製本されたもののスキャンは非破壊で見開きスキャンというのを基本にしてきました。しかしデジタイズ作業を加速させる必要があって FUJITSU ScanSnap S1500 を購入したからにはスキャン対象物は単ペラの紙であることが条件です。
そういうわけで製本されたものをバラかす工程が必要です。ScanSnap以前にも本の解体は何度もしたことがあって、自家方法だとカッターナイフで、業者(たいていはキンコーズ)にお願いするときは背の裁断でやっていました。
今回デジタイズ作業を加速させるということで、裁断は全部業者任せにしようかとも考えたのですが、

  • 業者が扱わないタイプの製本状態のものがある
    • 自炊関連裁断業者で扱えないサイズのものがある
  • あとからワラワラでてくるだろう
  • 気の向いたとき・時間のあいたときに自分でやる
    • 少量でもできる
  • 1冊ずつ本に挨拶をしながら後暗くやる
  • でも、ある程度は楽に行いたい

そんなような分析の結果、道具を買って自家裁断を基本とすることにしました。

我が家にある製本された状態のものの種類は次のとおりでした。

  • ハードカバー
  • くるみ製本
  • 中綴じ製本
  • テープ製本
  • リング製本
  • ツインループ製本

なんだひと通り全部じゃないか。リング製本は手ではずせるし、ツインループ製本はまぁ最悪ラジオペンチやニッパでOKです。

ホチキス針リムーバー

やはり、くるみ製本のものが一番多いです。くるみ製本でも古いタイプのものはステープラ(ホチキス)で止めた上で背を接着剤で固めてあるようです。『ロッキンf』とか『トランジスタ技術』の古い奴がそうでした。中綴じ、物によってはテープ製本もステープラが使われています。
これをはずさなくてはいけません。マイナスドライバとニッパ、ラジオペンチで試みたこともありますが結構な手間で疲れます。ということでステープラはずし(リムーバー)をまずは物色。サンスター文具の「はりトル」に似た商品を100円ショップで見つけましたが、これは力が入らない。手が痛かったです。大きい奴は外れないし。同じく「はりトルPRO」などを検討しつつ最終的にはマックスのものにしました。

マックスのRZ-3F と ダイソーのホチキス針リムーバー

これでも60年代70年代の雑誌から抜き取るのはなかなかに骨です。昔の製本はいい仕事をしています… 針が錆びてしまっていることも往々にしてあるのでさらに苦しい。本の解体にはこの機種が最低限ラインなのかもしれません。

裁断機本体

さて、断裁機の検討に入ります。電磁機構が入っていないものは断裁器と呼ぶのが正しいのでしょうか。しかしこの表記はあまり見ませんね。電話機がもはや電子機器になったのに電話器と呼ばないようなものでしょうか。
裁断機といえば プラス の PK-513L の評価が高いです。身の回りで使っている人からも「いいよー、おすすめだよー、買いなよー」と言われました。しかし、

  • 住まい環境を考えると刃がこわい
  • 刃のランニングコストが高そう
    • ネットでの評判からは 刃の交換=約1万円/100冊ほど

と分析しました。
押し切りタイプの裁断機についても同じ感想を持っています。

そんなわけでロータリー式の裁断機にすることにしました。調べるとロータリー式ではこれまた カール事務器 ディスクカッター DC-210N 一択!って感じでしたが、あの形状の紙当て定規が好きじゃないんですよ、カッティングの自由度から。

コクヨのもの*1にすることにしました。カール事務器製のものよりも安い時もあります。実はコクヨの古い型のを使ったことがあるというのも決め手でした。サイズ・ラインナップがあって、A4・B4・A3 というバリエーションです。私の用途として海外の大きめの本をA4なりUSレターサイズに切り詰める、という使い方も必要なので、A4サイズではちょっと小さい。そこでB4サイズにすることにしました。

いつ何があってもいいように補充部品も買っておきました。

裁断機本体内に収められてしまうので便利です。


これもあちこちのブログで紹介されていますが、一度に切れるのが40枚程度(ローラーカッターを1往復させる)なので、ページ数の多い本は前もってばらす必要があります。これは普通のカッターナイフと(100円ショップの)カッティングマットで。
私は、カッターナイフはもうずっとこれを使っています。

本をパラパラと見ながら30〜40枚程度の単位で背に刃を入れます。開いて切るか、背から切るかはお好みしだい。
バラけたらその単位でローラーカッター式裁断機にかけていきます。幅を揃えるために磁石付きのガイドをセットして、小口を当てがって裁断します。もっとも小口がカーブしているハードカバーや、あまり深いこと考えていない中綴じの厚みのあるもの(週刊誌等)では臨機応変にやります。ScanSnapで読み取りサイズを自動にしておくと良きに計らってくれるのですけれども。

ペーパーナイフ

初め中綴じ本に関しては裁断機なしでもある程度バラせるだろうとして購入したのですが、ペーパーナイフでの切り口は紙質があまりよくない雑誌の解体などでは紙の繊維が出てきてしまったりしてうまくなかったです。ローラーカッターを買った今、お蔵入りか?と思われましたが、思わぬ活躍の路がありました。
接着剤がページまではみ出しているようなところだとローラーカッターで内側まで切り込んだつもりでもページが離れていないことがあるのです。裁断チェックの工程でこのようなページ離れが不十分なところにペーパーナイフを入れて切り離すとスマートです。手でやって破れが生じていたようなことが避けられるようになりました。

その他

掃除機はちょっと前に購入したものですが、とても重宝しています。
裁断作業では細かい紙くずや接着剤くずがボロボロとでます。そこいらに落ちたり裁断機に堆積したり。そんな時にこの掃除機で吸っていますです、はい。

製本物のスキャンの工程

表紙はずし(ホチキス針抜き) ⇒ バラかす ⇒ 裁断 ⇒ 裁断検品 → スキャン、スキャン品質確認

あ、これはこれだけで別記事にしようかな…

裁断すると…

それにしても裁断すると、なんか、本が「枯れる」感覚がありますね、花が枯れるように。製本された本は「背」から栄養分を紙のスミズミまでに行き渡している… じゃなくて裁断して紙面が空気に触れるからでしょう、きっと。


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*1:製造は実はカールだったりするかもしれませんがね(根拠なし)

ScanSnapを買いました

これまでの話の流れで明白なように、富士通のドキュメントスキャナ、FUJITSU ScanSnap S1500 FI-S1500 を購入しました。


ここで多くのブログではいわゆる自炊と呼ばれる書籍を断裁して電子書籍化するワークフローを説明する流れのようですが、逆にそのようなブログはたくさんあるので、ここでは私が使ってみて気がついた項目を挙げることにします。

Adobe Acrobat 9 Standard 同梱

アマゾンさんで購入時価格37,200円でした。昨日の記事でも書いたのですが、MacBook {Air|PRO} を買おうと貯めていたお金に原稿料を足して、貯金をはたいて清水ジャンプです。私のお小遣い事情から37,200円はなかなか痛い値段ですが、Adobe Acrobat 9 Standard が同梱されていたのが決め手です。別環境では Acrobat PRO を使うこともある私ですが、自宅環境でも PDFの編集ができるようになるのが大変にありがたく思いました。ScanSnap付属のソフトでもページの回転や削除、メタデータの入力などできるのですが、トリミングしたりしおりをつけたりしたかったので、それ単体で買うとそれなりのお値段である Acrobat の同梱は購入の大きな後押しとなりました。

小さい

トレイを畳んだ姿は思ったよりも小さい大きさです。購入に当たって未使用時に邪魔になるかなと恐れていましたが、この大きさなら許せます。

速い

これまでにゼロックス、リコー、キヤノンの業務用複合機を使ったことがありますが、それよりもスキャンが速い印象です。これは、それまで使っていたものが紙をひっくり返して片面ずつスキャンするタイプだったことに対して、ScanSnap はセンサを両面に持っていて両面同時にスキャンするためだと思われます*1

用紙厚の自由度が高い

紙のひっくり返しをしないので、紙送り経路が比較的ストレートです。ひっくり返し型では扱えなかった厚いもの、ジャムり易い薄いものに対して強いように感じます。

キャリアシートの発想は面白かった

付箋付きやスクラップブックなどのドキュメントはキャリアシートで挟んで機器に引っかからないようにすればスキャンできます。このキャリアシートを使ったスキャンではA3を畳んでA4サイズにしてキャリアシートに挟み、両面同時スキャンを行ってマネージャソフトウェアが画像の合体をしてA3見開きとして出力してくれます。
これは面白い発想だなぁ。紙の挟み方にちょっと気を遣うけれども。
なお、使わないときのキャリアシートの保管に困りました。グシャってなっちゃったら嫌だし。とりあえずは、中に紙類を挟み込める下敷きというかフォルダというか、小中高生がアイドルの切り抜き入れておいて下敷きにするようなあんなプラスティックのフォルダのB4サイズのものを買ってきてキャリアシート未使用時には収めています。

重送検知は見事

購入前にScanSnapについて調べていて「2枚同時に吸い込まれるとか、斜めになるとか、ほとんどありません」というような記載をあちこちで見ました。しかし少なくともうちのは重送、斜走、ジャムストップ は日常茶飯事で毎日起こってます。ところがこれが気にならないのです。
重送(重なって紙をフィードしてしまう)はセンサで検知してくれます。そしてマネージャソフトウェアがアラートを出してくるのです。「重なり検知したけどどうする?」 前後の成功しているスキャン画像が現れて、この画像は消すとか残すとか対応を促すようになっています。機械単体でやり過ぎない適度なシステムになっていると思います。
他にも「あれ?今の紙送り変だったような?斜め走り?どーしてそぉなるのっ」→ しかしスキャン画像にはとくに問題なし みたいなことになっています。どこまでが機器側処理でどこからがマネージャソフト側処理なのかわかりませんが、トータルで巧いことやってくれているようです。
今現在ひっかかっている問題は、キャリアシートが滑るようになったのか、なかに挟む紙との関係性か、前面と後面の送りに速度差が出てしまってキャリアシートがよれてしまうことに伴い、あるべき速度でスキャン対象が送られないことがあるという症状です。スキャン結果としては紙送りが滞った部分で画像が間延びして同期が取れていないのがありありです。
これはちょっとした工夫で解決できます。
スキャンシートを弱粘着のテープのりで前後面貼り合わせれば大丈夫です。キャリアシート走行には問題ありません。ただ弱粘着とはいえ糊が残ることもあります。貼る場所を吟味してごく少量に留めるようにしましょう。

そのうちに縦筋が出るようになった

マネージャソフトの記録によれば、購入してから5日間で約3000枚ほどスキャンしたようでした。
ときおり筋のついたスキャン結果が得られるようになりました。センサのカバーのガラスに汚れが付着すると生じるようです。ホコリや小さい紙くずが原因だとスキャンしているうちに取れてしまいますが、書籍等の製本糊の残っていたものが付着すると自然には取れることは期待できないかも。
フラットベッドスキャナでは「ガラス面は綺麗にしておきましょう」は常識だと思います。ScanSnapの場合もセンサのカバーガラスに汚れがないに越したことはないということは言えましょう。必要に応じて適宜掃除しましょう。とはいえ正しい掃除の仕方を知りません、自己流です。失敗してゴムローラーなどを痛めてしまうと紙の走行に差し支えるので、自信のない人は手を出さないほうがいいでしょう。at your own risk でよろしくお願いします。

ScanSnapと一緒に購入して装備しておくべきもの

そんなわけでお掃除をしようと考える方は、お掃除用品をScanSnap購入時に合わせて買っておくと良いのではないでしょうか。メーカー純正のサービス用品キットのなかにお掃除用品も入ってるようなので、そちらのほうがいいかもしれません。
私の場合はすでに自宅にあった以下のものを用いて掃除しています。私のScanSnapはS1500で、それ以外の機種はわからないので同じやり方が通用しないかもしれません。ご注意ください。

  1. エアダスター 例:サンワサプライ エアダスター(エコタイプ)2本セット CD-28SET
  2. 無水アルコール 例:無水エタノールP 500ml
  3. キムワイプキムワイプ 12×21.5cm /1箱(200枚入) S-200

電子工作する人はふつうみんな持っているよね?ね?

エアダスターは缶タイプのものを使っています。ホコリを吹き飛ばすのに使います。
スキャンしているうちに紙の小さなクズや紙の繊維ゴミがScanSnap内に付着します。センサ部分を見える状態に開けてエアダスターでホコリの類を吹き飛ばします。エアダスターは調子にのって勢い良く吹き過ぎると変な吹き出しをします(あれをなんと表現したものか…)。そうするとその部分がいたずらに冷えてしまうので、ゴム部分であったりすると劣化につながることもあり注意です。吹き方の練習をして缶を手で温めながらそれなりの強さで吹きましょう。
ちなみにメーカーサイトではエアダスターの利用を推奨していません。変なところにゴミを追いやらないように頑張りつつ、at your own risk でよろしくお願いします。(ScanSnap よくあるご質問 (PFU))

センサのガラスカバーに付着した接着剤系の汚れは、キムワイプに無水アルコールを取り、軽く撫でるのが良いです。
キムワイプというのは「けば立ちがなく、水に溶けにくく、使用の際にパルプくずが出ない」(wikipedia:キムワイプ) 紙製のウエスです。
キムワイプの代わりにふつうの綿棒を使ってしまうと綿繊維が残ってしまったりするのでふつうの綿棒はNGです。キムワイプの代わりに精密機器クリーニング用セーム皮でも良いです。棒の先にセーム皮チップなどが付いているような精密機器用清掃グッズもあります。持っている奴はそれを使いやがれ、羨ましい。

無水アルコールは薬屋さんで買える純度の高いアルコールです。文具王の記事を参考までにリンク 万能クリーナー、その名は「消毒用エタノール」 - ITmedia エンタープライズ しますが、「無水アルコール」と言って買うと文具王の記事のものよりも純度が高いものになると思います。
買うときに「何に使うんですか?」と聞かれることがあります。以前「精密機器の清掃に」と応えたら「あああれいいらしいですね、先日も買って行かれた方がいらっしゃって、ちょっと年行った方だったんだけど、同じようにビデオを掃除するんだとかおっしゃっていて…」と薬局のおばちゃんの話が止まらなくなったことがあるのでみなさんは上手いことやってください。ちなみにヘッドには方向があるのでセーム皮+無水アルコールを使っていても知識無くビデオのシリンダをゴリゴリやらないように。
なおアルコールウェッティ みたいな奴はNGです。アルコール系クリーナースプレイとかもNGです。それらの製品には海藻起因のアレとかアルコール以外のものが入っています。乾くとうっすら白くなりがちです。
なおアルコールはアルコールですがアルコールなので飲まないほうがいいです。揮発性・引火性があるのでそれなりに注意です。ゴムとかプラスティックとか塗料とかを侵す場合があるので不要なところに塗布したりこぼしたりしないほうがいいです。あと手とかの傷に触れるとめちゃくちゃ痛いですから気をつけてください。

アルコールのボトルからキムワイプにアルコールを付けるのに、ハンドラップ があると便利です、が、高いですね。twitterイソジンうがい薬の容器をオススメされました。

あくまでも擦らずに撫でる程度に留めておきましょう。スキャンを続けてきてココぞというときに縦線が出るとがっかりで、人によってはヒートアップしてしまうかもしれません。しかし落ち着いて清掃しましょう。ScanSnapの内部の対象領域は狭いですし、熱くなっていることもあるのでご注意ください。


ScanSnap についてはこんなところで。次回は裁断機について書きます


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追記

キャリアシートの汚れと縦筋が気になるようになってきたので買ってしまいました(笑)

*1:業務用機でも両面センサならずっと速いに違いない、使ったことないけど

文房具検討その8 ― 『究極の文房具ハック』 Dの章 & おわりに

「『究極の文房具ハック』を読む」最終章。

はっきり言ってなにが書いてあったか忘れてしまいました。すみません。
読書メモには上記のURLが示されているのみです。URLはドキュメントスキャナScanSnapを使ったソリューションの提案集へのリンクになっています。これを見ているうちにドキュメントスキャナのある風景が拡がります。本書の記事もそんなような感じでした(ていうか、もはや本を見ての印象なのかWEBを見ての印象なのか融合してしまっています)。
ドキュメント類の入り口としてスキャナの使用が提案されていて、出口としてMaciPod touchiPhoneiPadがある… そういう風景です。
これはひとつ綺麗に閉じた(綴じた)系だな、と思いました。10数年前に流行ったアトムとビットという表現がありますが「今今で可能なアトム→ビットのシフトはこうですよ、私はもうやっていますよ」と見せてもらっている感じですね。うん、綺麗。すんなりと納得してしまいます。
しいて言えば「入り口と出口の間がどうなっているか気になる」わけですが、このあたりはなにかしら方法論が確立したときに文具王が提示してくれるのではないかと期待しています。


我が家にも、複合機の一機能ながらも、オートフィーダ付きのフラットベッドのスキャナがあります。雑誌のスクラップをスキャンしたり、ちょっとしたチラシをスキャンやコピーしたりとこれまでも使ってきていました。
しかしスキャンの速度はそれなりだし、オートフィーダを使うには書類サイズの制約があります。148mm×148mm 以上じゃないとだめ。ハガキや名刺をオートフィーダでスキャンできないわけです。
ScanSnap ではこのあたりが解決しそうなことが、文具王の本にも先のプロモーションサイトにも示されているじゃないですか。欲しい欲しい熱が高まってきてしまいました。Twitterあたりで"ScanSnap"をキーに検索してみると「便利してるー」というつぶやきと「欲しいよー」というつぶやきが多々出てきます。
私も先のサイト(スキャナーScanSnap スーパー活用術 : 富士通)や文具王の記事(ハガキはスキャンして遊ぶ - ITmedia エンタープライズ)を読むにつれ、自宅の本棚の1段を占領しているここ10年の年賀状 1000枚超 とクリスマスカードに思いが及びました。我が家の複合機のスキャナではオートフィードしてくれないハガキ… ScanSnapなら大丈夫… 欲しい…

ということで、いつかMacBook(Air か PROか)を買おうと思ってお小遣いから貯めていたお金(まだぜんぜん届かない金額だったが)と最近とあるところに1ページ書いた原稿料とを合わせれば買える!ということで これ → FUJITSU ScanSnap S1500 FI-S1500 を注文してしまったのが約2週間前のお話です。


このあとは ScanSnapを使ってみた周辺的な感想を書いていく予定です。文具シリーズはもう少し続きますが、文具王の『究極の文房具ハック』を読んで読書メモを追いながら私が実践したこと考えたことを綴ってきた一連の記事を終わります。
文房具の書く/切る/止めるという機能性ではなくて、提案/問題解決を軸にした 統・省・即・仮・整・D という章立ては普段から深くインヴォルヴされて考え続けているからこそ出てくる組み立てで、プロフェッショナルの仕事だと思います。

そんな感想を抱きつつ、この図書をキーにWEB記事を漁っていくつか読んでみたところ、「感心した」「反省した」「目からウロコ」「究極」「とても真似できない」「やってみたい」「買おうと思った」といったようなのはたくさん出てきたのだけれど、「実際にやってみた」というのがほとんど見当たらなかったんですよね。それはもったいないだろう、著者は「なるほど」とか「こうしたほうがいい」とか「それは違うだろう」とかいう反応を期待しているに違いない、それにはまずやってみることだ!(DIYerだし)ということで「やっていた」「やってみた」「やらなかった」ができるだけ表れるように書いてみました(しかし読み返すと文章はあんまりそんな感じになっていないですね、すみません)。私の日々のインヴォルヴメントが足りないために「それは違うだろう」までには辿りつけなかったのですが、ゴールデンウィークにこの本を読んでからまだ1ヶ月にも満たないアクティヴィティなものですから、まずは新たに取り入れたことを自分の習慣に定着させるべくブラッシュアップしていくことにしましょう。

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文房具検討その7 ― 『究極の文房具ハック』 整の章

  • 整の章 文具王のライフハック・基本原則その5 身のまわりはちょっと大胆な方法で一気に整える

  1. 机のウラ側の利用
  2. ガジェット充電は引き出しの中で
  3. ベルクロ
  4. ケーブルにはストラップ
  5. 真っ白トランプで情報記述→シャッフル→今日やること・食べるもの

文具王の提案は上記の私の読書メモのとおり。
「うおー、目からウロコがぼろぼろとー」というほどのアイディアはないかな(失礼)。アマチュア無線家にとっては, , 3(リンク1, リンク2), はシャック構築でそれなりに馴染みのある内容だと思います。
2は微妙かな。機器によっては放熱問題があるので。我が家のように充電ガジェットに放熱器を用意しているようでは引き出し内には残念ながら収まりそうにありません。でも出来ればすっきりしますよね。


ベルクロはほんとうに便利ですね(リンク1, リンク2)。アングルで組んだ棚の要所にベルクロ、机周りの壁面にはベルクロかコルクボードというのはお約束だと思います、思っています、思っていました。が、『究極の文房具ハック』の読後感想文をWEBのあちこちで見るかぎりはあんまり人気無いような感じですね。ノートパソコンにタイトなカバーを掛けてそこをベルクロにすれば本体に貼るのが嫌な人でも大丈夫なのに… これは J3100SS のときにやってました。PowerBook 5300 のときもやってた。Mac Book な人はロゴを見せるのが好きなのかしら、DJとかも。
とはいえ、最近は家族が嫌がるのでベルクロを貼れる家具・場所が限定的です。便利なのに、便利なのに。

我が家では、電子工作・音楽制作関係のケーブルはくるっとやってフックにひっかけておくのが標準なのですが、
ちょっと違う意図の写真だけど部屋でツッパリ棒してフック掛けてそこにケーブル類が掛かっています
電源関連ケーブルやACアダプタは ねじりっこ でしたが、縛ったり解いたりを繰り返すとすぐに折れるんですよね。突っつくと痛いし。ということでベルクロのケーブルタイに変更しているところです。ケーブルにつけっぱなしというのには、あまり外に出ないこともあって今のところはこだわっていません。


「真っ白トランプで情報記述→シャッフル→今日やること・食べるもの」(リンク)というのは面白いと思います。
一時期たくさんたまったエフェクタの回路図を、"Today's schematic" みたいに1日1枚表示させてその日は1日その回路について考える、出来れば実装する…みたいなことを考えました。ファイル形式がgifありJPEGありPDFありBMPありHTMLありなので、画像のシャッフル再生機能を使うよりは、スクリプトを書いてそこからアプリ起動すればいいかなぐらいに考えたものの実装には至らず…
しかしこういうテーマこそなんかガジェット・アプリがいいんじゃないかしら。トランプのカードも楽しそうだけれど。なんかこんなのが簡単にできそうなアプリはないですかねぇ…無ければ作れ、かな。

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文房具検討その6 ― 『究極の文房具ハック』 仮の章

  • 仮の章 文具王のライフハック・基本原則その4 「とりあえず」を肯定する

「とりあえず」重要!

  1. マスキングテープ
  2. テプラ
  3. ポストイットポストイット・インデックス
  4. なんでもとりあえずラベリング

文具王の文房具ハック、「仮の章」です。

充電の完了した二次電池には(付箋よりはがれにくい)マスキングテープで目印をつける(1)(リンク)、とにかくガンガン付箋を打つ・打てるようにしておく(3)(リンク)、「とりあえず」でいいからラベリングをする(4)(リンク)、そのためにテプラ(ラベルプリンタ)をパソコンに繋ぎっぱにする(2)*1

文具王*2の「あとでわかんなくなるよりいいでしょ?」というメッセージを受け取りました。「とりあえず」をサボるとあとで非常に労力(コスト)がかかるものに対して非常に敏感な人なのではないかと考えます。今する「とりあえず」は後の作業への先行投資とも言えるのではないでしょうか。

実際、思い当たるフシがありまくりです。


あとでやろう → 積んどく → 邪魔になる → 箱なり何なりに放り込む → どこに行ったかわからない → 必要になったときに部屋中の箱を開けて回る
私は(たぶん)箱の色や形状で連想記憶を形成できるタイプなのですが、それすらも記憶領域からスワップアウトされたころに「必要になったとき」がやってくる。その上に入れる箱はたいてい手近にあるアマゾン箱なのでいい具合に統一されていて… 毎回カオスです。
せめて箱に放り込むときに識別できるなにかを記しておけば良いのです。
箱入れ時、ラベルを貼る、せめて箱にマジック書きする を徹底することにしました。あとは中身が入れ替わったときにサボらず実態に合わせた再ラベリングできるかどうかですね>自分*3

他にも、私は電子工作をやるわけですが、例えば2009年に作ったものにインレタを打っていませんでした。コネクタの並びは規則的だから使えるだろう、と。確かに当初は使えたが、間があいたらなんのコネクタだったか思い出せなくなっていました。入力と出力が分からなくなったり。使うときになかあけて確認するなど…
この機器がなんであるかのラベルは貼ってあるわけですよ。しかし足りない。このラベルプリンタは比較的安価なスタンドアロン機で、デザインの自由度がありません。この時に考えたようなラベルが作れなかったので「いずれ綺麗に貼ろう」とフロントパネルを放置してしまった。それがのちの無駄を生んでいたのは明らかです。

確かにラベルプリンタがパソコンに繋ぎっぱだったら作る頻度も上がるかな、こういう非効率を潰すことができるかなと、文具王のこの本を言い訳に(笑)PC接続型ラベルプリンタを購入してしまいました。
我が家にあるのは ブラザーの P-Touch なので、カートリッジの流用性を考えてブラザーで。
ブラザー工業 PCラベルプリンター P-touch 2430PC PT-2430PC

しかし、KINGJIMのテプラはカートリッジの種類が豊富で羨ましいんですよね、熱収縮チューブに直接印字できるようなのもあるらしい…

それはともかく先の機器にきちんとレタリングしました。ついでに使い方や内部結線情報も天板に貼りつけておきました。これでこの機器の使用効率も上がるでしょう。


そんなこんなで、とにかく2,3,4 は完全実践ですね。付箋の消費量が格段にあがりました。


このような「とりあえず」の章ですが、もう一歩踏み込んで考えたい。


「とりあえず」をやっつけのいい加減なものに留めない、問題の先送りとしない。先に繋がる(仕事の)ピースのうちの、今できることであると捉える
そういうことが重要かと思います。

「いずれきちんとやろう」と言って進捗ゼロで積み置かれるのと、「とりあえずここまで」と言いつつもなにかしらを成すのとで、どちらがゴールに近いか、ということです。いや、積み置きは進捗ゼロではないかもしれません。あとで見返したときに「これなんだっけ?」→復習 から再開するのであればマイナスということになるのでは?

ブログなどの記事を書くときもそうです。一気に一本書けるなどということは滅多にありません。テーマを考える中で少しずつ出てきた表現のピースをその都度「とりあえず」書き留めておく。出てくる時はけっこうしっちゃかめっちゃかで、ある表現が出てくるとそれを否定する表現が出てきたり、ロジックが反転したり事象の時間軸が前後したり。そのまま書くとおかしなことになるので、取捨選択して順序とロジックの帳尻を合わせて文章にしています。
その多くが採用されないのだけど、ピースを「とりあえず」書き留める作業をしておかなかったら完成を見ないわけです。「書かなきゃ」と言いながら原稿用紙だけを前に固まっていた小学生時代を思い出します。「とりあえず」なんか書く、重要。


そうなんだよ、仕事もそうだけど、結局は「とりあえず」を積み上げた先に形があるんだよ!

><


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*1:書籍中では、繋ぎっぱになっていればどんどん使うよね?という提案でした

*2:ちなみにお会いしたことはありません

*3:同じアナロジーが電子ファイルでも行われそうではあるけれど、こちらは機械検索の存在を信じることにする

文房具検討その5 ― 『究極の文房具ハック』 即の章

  • 即の章 文具王のライフハック・基本原則その3 「いつか」ではなく「今すぐ」できるように環境を整える

後回しにすると溜まっていくんですよね…

  1. 雑誌はスクラップしながら処理→ドキュメントスキャナ
  2. 即メモ用紙→A4折り曲げ
  3. バイブルサイズとA4共存手帳
  4. ブツ撮り
    • 黒マット 「ニーモシネ」(マルマン)の表紙が使える
    • プリット ひっつき虫 で仮固定するとよい

文具王の『究極の文房具ハック』を読んで一番最初に真似をしたのはこのブツ撮りのところの ひっつき虫 でした。それまでは ネコの手 を使っていました。
ネコの手
うむ、ひっつき虫、スマート。(以下の写真で早速使っております) ところで「ニーモシネ」ってなに?


さて、文具王曰く「雑誌は破りながら読む」 犬耳や付箋は打つもののそのあとは積んであって 数週〜数ヶ月〜数年 となるのが私の場合の常でした。無線連盟の機関誌とか学会誌とかしばしばそうなるのよね… アクティブ・リーディングに努め、読み直しそうなものはスキャンして雑誌本体は処分する方向づけを得ました。まだまだ徹底できていないけれど、だらだらした読み直しを減らす効果が高そうな感じがしてきています。
ところで(この時点での)我が家の装備は、片面対応のADF(自動原稿送り装置)を搭載したフラットベッドスキャナ機能のあるインクジェット複合機(ブラザー)というものでした。付箋が付いていたりサイズが合わないとADFだめじゃん、とか、ちっちゃい切り抜きとかどうしよう、なんか以前持ってたFAXキャリアシートは捨ててしまったようだ、などなど… とりあえずADFはだめでも切り抜きを保持できるキャリアシート作るか…ということで、ケント紙と薄プラ板(OHPシートが高価だったので…)で
作りました。
うーん、ケント紙だとプラ板に負ける。OHPシートを探そう。USレターサイズならPPCプリンタ用のがうちにあるんだけど(なぜ?)。


そして大本命。「A4用紙を折りたたんでA7サイズにしてメモ用紙とする」というアイディアに触れました。「書類はA4に統一」「いつでもすぐにメモを取る」「書いたメモは(遅滞なく)スキャンして捨てる」というワークフロー。やってみるとこれが、なんというか、じわじわ来る。とりあえず会社支給の手帳やら、胸ポケットやら何箇所かにA7に折りたたんだ紙を忍ばせておいて、即メモ→スキャン(会社だったら職場の業務用複合機、家だったらブラザーのインクジェット複合機で)。いいですね、これ!
こんなようなメモカバーもあるようです。ジョッターと云うんですね? これなら机がないところでメモを取る時にいいなと思いましたが、メモカバーに5800円は出せないお小遣い事情なのです。ほかも探したけれど伊東屋とかもやっぱりちょっと(私には)手が出ない値段でした。
なおこのメモカバーを紹介する中で上記のワークフローについて詳しく記載があります。

探しているなかでダイソーの "Le monde"手帳 とかいうのを見つけました。
調べてみるとA7というサイズはメモ帳として一般的なサイズのひとつだとわかりました。RHODIAの No.11 とか有名らしい。
ダイソーの "Le monde" も RHODIA No.11 のような、A7サイズでミシン目の入ったメモ帳+カバーです。

これを使ってみよう → ペンを物色 → "Le monde"手帳 + ゼブラ SL-F1 mini ボールペン (BA55) に落ち着きました。合計420円。このボールペンは"Le monde"手帳にちょうどいい感じ。ちなみに 4C-0.7芯。


本来のメモ帳を抜いて A7折り畳み紙をポケットに入れる → ポケットから出して書く → すぐに書けないじゃん → ボツ
ボツ


本来のメモ帳を抜いて RHODIA No.11を入れる → もともとの紙よりは書き味が良い → これはこれでOK → しかし厚みが厚いな
厚い


…って、ちょっとまて、A7折り畳み紙はどうなった?
ダイソーの Le monde 手帳 のカバー部を改造してジョッターにならないか? → 試行錯誤して例のアクリル端材を利用して…
どうだっ、まだ厚いかな… 

まだまだ改良の余地がありそうです。ちなみにアクリル板のカバーへの取り付けはベルクロです。
それにつけても「保存するメモ帳」が欲しい。


さて次に、A4折り畳み紙になにを使うのが良いか、ということに意識が向きました。
メモって→スキャン というワークフローは前からあって、その提案としてのマルマンの「ニーモシネ」というメモパッドがずいぶんと前に出ていたことをこの本をきっかけに知ったわけです。ほんと、文具感度低いよ>自分。いまやブームも過ぎた頃だったのですね。東急ハンズに品揃えがありましたが、800円超は自分にとってはアフォーダブルではない。趣味の開発に際してドット入り罫線のCampusノート(コクヨ)のA4サイズを常用をしている身としてはちぎってスキャンする紙の集合に800円は出せない感じ。
A4ノートが開ける環境ならCampusノートを開きます。ニーモシネのA4サイズを買ってちぎって畳んでジョッターに収めるのもなにか違う。

超整理手帳のシートがいくつか公開されていることも知りました。 → http://blog.techou.kodansha.co.jp/refill/
しかし、どうも自分には合わない感じ。ピンときたのはせいぜいこのあたりかなぁ…

無いなら作るしかない!
私は趣味の電子工作をする関係で、部品配置検討用に 1/10インチの方眼用紙を作って日々使っています。インチものはふつうには売っていないんですよね、モノサシですら(参考リンク)。「作って」といっても 方眼紙PDF作成サイト を利用しただけなのですが… こちらがそのサイトです。 → Free Online Graph Paper / Asymmetric and Specialty Grid Paper PDFs
フォームに従ってパラメータを入力して作ります。私は5mm方眼で薄め(細め)の罫線にして作りました。電子工作DIYer的には 1/10インチだけど、アイディア出しパッドにはやっぱり5mm方眼だね! 以前の職場ではA3の5mm方眼紙をとりあえず机に置いておいてガーっと設計のアイディアを書いていたりしたものでした。
PDFが出来上がるのでこれを印刷するだけです。インクジェットよりはレーザープリンタのほうがいいでしょう。
超整理手帳シートは、使っているうちにTO-DOシート2 もドロップしました。買い物リストは便利しています。


今、

  • かばんにはドット入り罫線のA4ノート
  • 胸ポケットには "Le monde"ジョッター+ゼブラ SL-F1 mini+A4折り畳み5mm方眼紙+RHODIAの紙をちぎって何枚か

というイデダチで アイディア即メモ → スキャン → 考えをまとめながらA4ノートに俯瞰して整理 というワークフロー を実践中です。

あれ?早く趣味の電子工作設計開発に戻らなくちゃいけないのでは?


(でもまだ文房具への取り組みは続きます)



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