裁断機を買いました

これまで製本されたもののスキャンは非破壊で見開きスキャンというのを基本にしてきました。しかしデジタイズ作業を加速させる必要があって FUJITSU ScanSnap S1500 を購入したからにはスキャン対象物は単ペラの紙であることが条件です。
そういうわけで製本されたものをバラかす工程が必要です。ScanSnap以前にも本の解体は何度もしたことがあって、自家方法だとカッターナイフで、業者(たいていはキンコーズ)にお願いするときは背の裁断でやっていました。
今回デジタイズ作業を加速させるということで、裁断は全部業者任せにしようかとも考えたのですが、

  • 業者が扱わないタイプの製本状態のものがある
    • 自炊関連裁断業者で扱えないサイズのものがある
  • あとからワラワラでてくるだろう
  • 気の向いたとき・時間のあいたときに自分でやる
    • 少量でもできる
  • 1冊ずつ本に挨拶をしながら後暗くやる
  • でも、ある程度は楽に行いたい

そんなような分析の結果、道具を買って自家裁断を基本とすることにしました。

我が家にある製本された状態のものの種類は次のとおりでした。

  • ハードカバー
  • くるみ製本
  • 中綴じ製本
  • テープ製本
  • リング製本
  • ツインループ製本

なんだひと通り全部じゃないか。リング製本は手ではずせるし、ツインループ製本はまぁ最悪ラジオペンチやニッパでOKです。

ホチキス針リムーバー

やはり、くるみ製本のものが一番多いです。くるみ製本でも古いタイプのものはステープラ(ホチキス)で止めた上で背を接着剤で固めてあるようです。『ロッキンf』とか『トランジスタ技術』の古い奴がそうでした。中綴じ、物によってはテープ製本もステープラが使われています。
これをはずさなくてはいけません。マイナスドライバとニッパ、ラジオペンチで試みたこともありますが結構な手間で疲れます。ということでステープラはずし(リムーバー)をまずは物色。サンスター文具の「はりトル」に似た商品を100円ショップで見つけましたが、これは力が入らない。手が痛かったです。大きい奴は外れないし。同じく「はりトルPRO」などを検討しつつ最終的にはマックスのものにしました。

マックスのRZ-3F と ダイソーのホチキス針リムーバー

これでも60年代70年代の雑誌から抜き取るのはなかなかに骨です。昔の製本はいい仕事をしています… 針が錆びてしまっていることも往々にしてあるのでさらに苦しい。本の解体にはこの機種が最低限ラインなのかもしれません。

裁断機本体

さて、断裁機の検討に入ります。電磁機構が入っていないものは断裁器と呼ぶのが正しいのでしょうか。しかしこの表記はあまり見ませんね。電話機がもはや電子機器になったのに電話器と呼ばないようなものでしょうか。
裁断機といえば プラス の PK-513L の評価が高いです。身の回りで使っている人からも「いいよー、おすすめだよー、買いなよー」と言われました。しかし、

  • 住まい環境を考えると刃がこわい
  • 刃のランニングコストが高そう
    • ネットでの評判からは 刃の交換=約1万円/100冊ほど

と分析しました。
押し切りタイプの裁断機についても同じ感想を持っています。

そんなわけでロータリー式の裁断機にすることにしました。調べるとロータリー式ではこれまた カール事務器 ディスクカッター DC-210N 一択!って感じでしたが、あの形状の紙当て定規が好きじゃないんですよ、カッティングの自由度から。

コクヨのもの*1にすることにしました。カール事務器製のものよりも安い時もあります。実はコクヨの古い型のを使ったことがあるというのも決め手でした。サイズ・ラインナップがあって、A4・B4・A3 というバリエーションです。私の用途として海外の大きめの本をA4なりUSレターサイズに切り詰める、という使い方も必要なので、A4サイズではちょっと小さい。そこでB4サイズにすることにしました。

いつ何があってもいいように補充部品も買っておきました。

裁断機本体内に収められてしまうので便利です。


これもあちこちのブログで紹介されていますが、一度に切れるのが40枚程度(ローラーカッターを1往復させる)なので、ページ数の多い本は前もってばらす必要があります。これは普通のカッターナイフと(100円ショップの)カッティングマットで。
私は、カッターナイフはもうずっとこれを使っています。

本をパラパラと見ながら30〜40枚程度の単位で背に刃を入れます。開いて切るか、背から切るかはお好みしだい。
バラけたらその単位でローラーカッター式裁断機にかけていきます。幅を揃えるために磁石付きのガイドをセットして、小口を当てがって裁断します。もっとも小口がカーブしているハードカバーや、あまり深いこと考えていない中綴じの厚みのあるもの(週刊誌等)では臨機応変にやります。ScanSnapで読み取りサイズを自動にしておくと良きに計らってくれるのですけれども。

ペーパーナイフ

初め中綴じ本に関しては裁断機なしでもある程度バラせるだろうとして購入したのですが、ペーパーナイフでの切り口は紙質があまりよくない雑誌の解体などでは紙の繊維が出てきてしまったりしてうまくなかったです。ローラーカッターを買った今、お蔵入りか?と思われましたが、思わぬ活躍の路がありました。
接着剤がページまではみ出しているようなところだとローラーカッターで内側まで切り込んだつもりでもページが離れていないことがあるのです。裁断チェックの工程でこのようなページ離れが不十分なところにペーパーナイフを入れて切り離すとスマートです。手でやって破れが生じていたようなことが避けられるようになりました。

その他

掃除機はちょっと前に購入したものですが、とても重宝しています。
裁断作業では細かい紙くずや接着剤くずがボロボロとでます。そこいらに落ちたり裁断機に堆積したり。そんな時にこの掃除機で吸っていますです、はい。

製本物のスキャンの工程

表紙はずし(ホチキス針抜き) ⇒ バラかす ⇒ 裁断 ⇒ 裁断検品 → スキャン、スキャン品質確認

あ、これはこれだけで別記事にしようかな…

裁断すると…

それにしても裁断すると、なんか、本が「枯れる」感覚がありますね、花が枯れるように。製本された本は「背」から栄養分を紙のスミズミまでに行き渡している… じゃなくて裁断して紙面が空気に触れるからでしょう、きっと。


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*1:製造は実はカールだったりするかもしれませんがね(根拠なし)